Desigh&Symbol

ベルベル人は文字を持たない人々でした。   自然に近い暮らしをしてきたベルベル人は、イスラム教がモロッコに伝わる以前から周りの動植物等に呪術的な力が宿る事を信じていました。例えばライオンは力の象徴、麦は豊穣の象徴、鳥は善の力の象徴と言う風に。このような周りの自然を象徴したデザインの他、モロッコに限らず、地中海文化圏に広く見られる「邪視除けの目」イスラム・アラブ圏に共通する「ハムサ/ファティマの手」を象徴するデザインも織り込まれています。幾つか、代表的な模様とその意味をご紹介します。

*「ベルベル人」と言う名称は、ヨーロッパから見た北アフリカの先住民の呼び名ですが、様々な語族、部族に分かれます。モロッコでの呼び名も地方に寄り異なるため、このサイトでは「ベルベル人」と言う呼称を使います。 北モロッコと南モロッコでは同じシンボル・図柄が異なる意味を持つ可能性もあり、参考書籍により異なる意味が紹介されている事があります。ここでご紹介する模様の意味は、下記の参考文献及び私が今まで聞いた事をまとめた物です。

参考文献:「Berber」W.Stanzer Hersberger Collection 1991


オクタグラム   平衡、調和、完全等を表す。イスラムアートでは良く見られるデザインで、モロッコのモザイクの床やゼリージュの最も基本的なデザイン。北アフリカでは古代エジプトの時代から使われていた非常に古いシンボルであるが、モロッコでは主にアラブ人によって多用されてきた。ベルベル人がこのシンボルを使用し始めたのは20世紀に入ってから、フランスの保護領化により、地方にも大きな道路や鉄道が敷かれ、アラブ文化が流入した影響であると考えられる。タズナフトに良く見られるデザイン。

斜め十字/ジグザグ   鋏や鎌=鉄でつくられたもの、男性的な力。鉄はそれ自体に呪術的な意味があると恐れられ、ネガティブなパワーや出来事を追い払うと信じられている。種類を問わず、様々なラグ&カーペットに見られる代表的な模様。

斜め十字/ジグザグ   鋏や鎌=鉄でつくられたもの、男性的な力。鉄はそれ自体に呪術的な意味があると恐れられ、ネガティブなパワーや出来事を追い払うと信じられている。種類を問わず、様々なラグ&カーペットに見られる代表的な模様。

ライオンの足 男性的な力の象徴。邪視を跳ね除ける。モロッコには1922年まで体長3メートルと大型の「バーバリーライオン」が生息しており、特に昔のリフ地方周辺のベルベル人にとっては、ライオンは身近な存在であった。種類を問わず、様々なラグ&カーペットに見られる代表的な模様。

ダイヤモンド:女性及び豊穣、子だくさんの象徴。地域を問わず、モロッコのラグ&カーペットにもっとも頻繁に登場するデザイン。指やライオンの足、鳥などのデザインと組み合わせられている事もある。一昔前の(現代でも殆どの)女性達にとっては、結婚して子供を授かるかどうかと言う事は、人生において最も重要な事であり、特に結婚に際して織られるラグ&カーペットには「女性」を表すダイヤ柄や、「子だくさん」を表す麦や種の図柄が多く織りこまれた。種類を問わず、様々なラグ&カーペットに見られる代表的な模様。

目:ダイヤの中に中心があるデザイン。邪視をはねのける為の目。地中海文化圏で広く信じられる「邪視」。じっと見つめられることにより、悪い事が起こる、病気になる等のネガティブな出来事が起こると言う民間信仰。本人に意識が無くても、視線に力が宿るとされ、特に若い女性、新婦、赤ちゃん、子供が邪視の被害を受けやすいとされるため、邪視除けのための様々な工夫がなされる。現代でも、目の形やファティマの手の形のアクセサリーを身に着ける、手や足にヘナを施す、などは一般的。種類を問わず、様々なラグ&カーペットに見られる代表的な模様。

指、手:ファティマの手の象徴。「ハムサ」(アラビア語の5)とも呼ばれる。この模様以外にも、数字の5をそのまま織り込んだり、5をイメージした模様は全て手を表す。ファティマの手は邪視等のネガティブな力を跳ね返すと信じられており、現代でもアクセサリーなどに頻繁にデザインされ、身に着けている人も多い。

麦、種:豊穣、子だくさん等の象徴。結婚の際に今後沢山の子供に恵まれるようにと言う願いを込めて、既に結婚している女性であれば家畜や農業の繁栄を祈って織り込まれた模様。

亀、蛙、蜘蛛:バラカ及び豊穣の象徴。おそらく、イスラムが伝わる以前から、ベルベル人の間では亀や蛙、蜘蛛は聖なる精霊との間を取り持つものとされて居たのが、イスラム教のバラカ信仰と合わさったもの。また、蜘蛛は子供をたくさん産むことから、子だくさんや豊穣の象徴としてもデザインされる。
鳥/鳥の足跡、ヤシの葉:バラカの象徴。バラカとは、神から授かった恩寵、全の力をさし、バラカが授かるものや人はポジティブな出来事を引き寄せ、病気を癒し、ネガティブな出来事を遠ざけると信じられている。
ヤマウズラの目&チェスボード:美しさ、女性、女性的な魅力を象徴。

北アフリカには、一万年以上の壁画が残されており、紀元前6千年頃から遊牧生活や自給自足農業がおこなわれていました。ベルベル人のオリジナルがどこか、については諸説がありますが、現代のベルベル人は、古来から北アフリカで暮らしていた人々、ブラックアフリカから来た人々、古代フェニキア、ローマなどから来た人々からなり、「ベルベル人」と一言で言えない位、地方に寄って言葉、風貌、肌の色などが異なります。モロッコ南部の「ベルベル人」は、浅黒い肌に真っ黒な髪の毛、黒い瞳を持つが、フェズやタンジェには白い肌に赤毛、青い目の「ベルベル人」が居ます。

「ベルベル人」と言う名称は、ローマ人が「訳の分からない言葉を話す人々」と言う意味で付けた名称で、英語のバーバリアン(野蛮人)の語源。現代では、ベルベルと言う名称は蔑称であるから、使われない事も多いのですが、「イマジゲン」と言う名称がつかわれたり、「シェリハ」と言う名称がつかわれたり、地方、語族により異なるため、このサイト上では「ベルベル」と言う言葉を使います。

 

彼らの文化には、古代エジプト、フェニキア、ローマ、サハラ以南のアフリカ、ユダヤ、イスラムの影響が有り、古代ベルベル人は月と太陽を崇拝していました。古代エジプトの太陽神(アメン神)と共通すると考えられています。

彼らはラグ&カーペットに限らず、生活の道具、装身具、体の刺青等に様々なデザインを施しますが、その模様に込められた意味は、古来から伝わるものとイスラム化されてからのものが交じり合って居ます。

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One Response to “Desigh&Symbol”

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